距離の表示

「80メートル1分のナゼ」

不動産を購入するにあたって重要な要素となる立地。
その物件の最寄り駅は何駅なのか、また、駅からの距離はどれくらい離れているのか、といったことは当然気になりますよね。
不動産広告には必ず「△△駅より徒歩◯分」という表記があります。そもそもこの所要時間って、どういう基準で決められるのでしょうか?

徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示することになっています。
これは直線距離ではなく道なりの距離です。
坂道や信号待ちの時間は考慮されませんが、横断が困難な交通量の多い道路が途中にあり、
遠回りになる横断歩道や歩道橋を経由しなければならない場合は、その経由した道路距離により徒歩所要時間を算出して表示すことになります。
また、道路距離を80で割ったときに1分未満の端数が生じた場合、切り上げる必要があります。
たとえば道路距離が40mだと、「△△駅より徒歩30秒」とは表記できず、「△△駅より徒歩1分」となります。

しかし、と僕は疑問に思います。歩く早さって人によって違いますよね。
男女の違いもあるし、若者と高齢者ならきっと若者の方が早いと思うのです。
友人の女性からは「不動産屋の基準は80メートル1分かもしれないけど、そんなに速く歩けないよ」という声も聞きますし、
「駅近物件に見せるためにサバ読んでるんじゃないの?」とまで言われると、不動産広告の仕事に携わっている者としては
「いやいや、そんなことない(はずだ)よ」と反論したくなってしまいます。

そこで実験。
自宅から駅までの距離と徒歩分数を計測してみました。
ちなみに僕は男性の中では歩くのが遅い方で、都心における通勤時の横断歩道などでは多くの人に追い抜かれてしまいます。
というわけで、女性や高齢者も含めた全人類的にはおそらく平均的な速度ではないかと勝手に思っています。
僕の自宅から最寄り駅までの距離をGoogleマップのルート検索の機能で測ってみると780m。
80メートル1分(端数は切り上げ)で計算した場合、徒歩10分になります。
道はほぼフラットで、信号のある横断歩道は2ヶ所。
3往復してみた結果は概ね9〜11分(駅に向かう方が早い傾向にありました)で、
徒歩10分というのはあながち間違っていなさそうです。

よく考えたらGoogleマップにも「徒歩分数表示」の機能はあるので、念のため調べてみると、そちらでも徒歩10分の表示でした。
ちなみにこのGoogleマップのサービスの正確さはお墨付きで、
家探しをする人の中には不動産広告に記載された徒歩分数よりもそちらを信じる人が多いようです。
僕としてはちょっと複雑な気持ちなんですけどね。
ただ、「Googleマップは平地以外に信号や坂、歩道橋、エレベーターなどを経由する場合、その分を考慮して所要時間を算出している」
という噂もあり、つまり同じ距離でも障害となるものをすべて調べて所要時間に上乗せしているということなので、
そりゃそっちの方が正確だよねと思わざるを得ないのです。